皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。
今回は地方税に欠損金の繰り戻し還付は無いのか、解説していきたいと思います。
結論:繰り戻し還付の制度は無いが、「控除対象還付法人税額の控除明細書」を添付することで、翌期以降の課税標準となる法人税額から繰越控除できる

今期赤字で、税理士から「法人税が戻ってきますね」と言われたぞ。
法人県民税とか、法人市民税とかは戻ってこないの?

なるほど、今期が赤字で、前期が黒字で法人税を払っていたんですね。
そういった状況の場合、今期の赤字を前期の黒字と相殺して、前期の法人税の還付を受けるという繰り戻し還付の適用があります。

還付されるのは、法人税と、地方法人税だけなので、法人県民税、法人市民税は還付されません。
ただし、今期の決算において、「控除対象還付法人税額の控除明細書」を添付することで、翌期以降の法人県民税、法人市民税と相殺することができます。(※法人税割額に限る)

えーと、つまり還付されるわけじゃなくて、翌期以降相殺していくんだな

はい、そうです。

参考図書「図解 地方税」によると、控除対象還付法人税額の繰越控除の要件として、「控除対象還付法人税額の控除は、当該控除対象還付法人税額の計算の基礎となった欠損金額に係る事業年度以後において連続して法人住民税の確定申告書を提出している場合に限り、法人税割の課税標準となる法人税額から控除することとされています(地法53㉕、321の8㉕)」という記載があります

法人住民税についての記載ですが、法人市民税についても同様の取扱いです。連続して確定申告書を提出することが要件のため、仮に今期添付もれだったとしても、来期以降適用することができない、ということはないと考えます。

添付が漏れていた場合は、役所に確認したほうがいいでしょう。

地方税も還付してくれればいいんだけど、取り扱いが違っているのね
余談

法人税の繰り戻し還付を受ける際は、「控除対象還付法人税額の控除明細書」の添付漏れが無いか、確認するようにしましょう


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