皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。
今回は、建物更生共済契約(建更)の契約者変更にかかる課税関係について解説します。
建物更生共済契約(建更)の契約者変更にかかる課税関係

今回、相続税や、贈与税にまつわる関係で、建更の契約者変更した場合の課税関係について解説したいと思います。

建更とは、JA共済のホームページから引用したところによると、
「建物や動産が、火災等や、台風・地震等の自然災害により受けた損害の保障を行うとともに、損害を受けた際に生じる各種の費用や、被共済者様やそのご家族の方が亡くなられたり負傷されたりした場合の保障を組み込んだ「いえ」の総合保障共済です。また、共済期間の満了時には満期共済金をお支払いし、増改築等のための資金にご活用いただけます。」
というのが、保障内容となっている保険です。

農協で口座を作られている方で、よく建更の支払いを確認することがあります。

で、この建更ですが、中途解約した場合には、解約時点での解約返戻金相当額が払い戻しされることが、相続税や、贈与税を計算するときのポイントになります。

解約したときにお金受け取れるのに、なんで相続税、贈与税が関係するの?

なぜかというと、相続時、贈与時において、その時点における、解約返戻金という積立金を、相続、贈与されると考えるためです。解約したら貰えるんだから、現金貰ったのと同じでしょ、という考え方です。

なるほどね。

ここら辺までには、一般的にな内容ですが、今回ちょっと掘り下げて、2つポイントをお伝えします。

ポイント1。人の死亡を保障する生命保険契約や損害保険契約の契約者変更については贈与税は課税されないが、建更の契約者変更については贈与税が課税されるという点です。

人の死亡に保障する生命保険契約や損害保険契約については、保険事故が発生した(保険金を受け取れる事由が発生した)ときに、相続税や、贈与税を課税しますので、保険事故が発生するまでは、契約者変更しようが、贈与税を課さない、という考え方になっています。(契約者変更時点で、解約返戻金があった場合の話)

建更についても、死亡に伴う保険事由もありますが、人の死亡に保障する損害保険契約、というよりも、物の損害を保障する保険契約と考えられていますので、人の死亡を保障する一般の生命保険契約や損害保険契約とは課税関係が異なります。

そのため、ご存命中に建更の契約者変更をした場合には、贈与税の対象となります

ポイント2。契約者変更後、建更の保険料を被相続人が支払っていた場合は、生前贈与加算の対象になる、ということです。

生前贈与加算というのは、お亡くなりになる直近に贈与をしていたんだったら、それはもう贈与した財産というより、相続財産の一種と捉えていいよね。というのが趣旨だと思います。

生前に契約者変更した後、保険料を変更後の契約者の通帳から引き落とすのではなく、被相続人の通帳から引き落としているケースが見られます。

こちらについては、変更後の契約者が払うものを、被相続人が代わりに支払っていたんだから、それはもう、変更後の契約者に現金渡していたのと一緒だよね。ってことで生前贈与加算の対象になることに注意が必要です。

言われれば、あー確かに。というところですが。相続税額が変わってきたりするので気を付けてくださいね。
余談

今回、解説した内容は、税務署のHPにも明確に記載がないところでございましたので、取り上げさせていただきました。
「タイムリミットで考える 相続税対策」(著者:山本和義)という著書を参考にさせていただきました。
ご参考になりますと幸いです。
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